心ときみの物語


二時間歩き回って、やっと見つけたのはイヌホウズキだけ。あとの薬草がどうしても見つからない。

『諦めましょう。この山にはないのかもしれな……』

『ダメですよ!』

小鞠は泥がついた手で顔を擦った。そして強い目で進を見る。


『進さんは私に病はもう治らないから諦めてると言いました。あなたはいつもそうです。自分を下げる言い方ばかりして、悪くないのに自分が一番悪いって顔をする』

『……小鞠さん』

『だれがなんと言おうとあなたは背筋を伸ばして生きるべきだし、私だってそういう進さんが見たいんです!』

ぽろり、と涙が流れて。それはふたりの瞳から。

結局そのあと、時間も忘れて山を歩き回ったけど、すべての薬草を見つけることはできなかった。

その悔しさでヒクヒクと泣いている小鞠に、進が後ろから肩を叩く。

振り返ると小鞠の視界には一輪の花。


『薬草は見つからなかったけど、とてもいいものを見つけましたよ。ちょっと来てください』

進に手を引かれて、たどり着いたのは一面に同じ色の花が咲く空間。風の向きによってみんな同じ方向に揺れて。それがなんとも可愛らしく思えた。