時間は早朝の5時45分。
朝靄(あさもや)をかき分けるように光が射して。
その空の色は例えようがないほど美しい。
オレンジとピンクと赤が混ざったようなそんな色をしていて、ゆっくりと山と山の間から朝日が俺たちの顔を照らした。
寒かったはずなのにすごく暖かくて、こんなに綺麗なものを見たのは生まれてはじめてだった。
「すごいね……すごいね」
心春がうまく言葉が出てこないほど感動していた。その横顔を見て、朝靄がはれたように俺の中にあった深い霧もなくなっていった。
「心春」
世界で一番愛しい人の名前を呼ぶ。
「会えてよかった。本当は俺もずっと会いたかったんだ」
あのとき嘘をついてしまったけど、もう後悔はしたくない。
肉体は消えた。俺は死んだ。
だけど心は生きていた。
だから溢れだす。
伝えたいこと、伝えなきゃいけないことが。
「心春にはこの先、長い長い未来がある。俺はお前が他の人と一緒になって笑ってる姿を見ていられるほど心が広い人間じゃないのかもしれない」



