「私はこの2年間エニシさまのお側にいてずっと見てきました。あなたがいたから救われた人もたくさん見てきました。私もそうです」
「………」
「どうしたって忘れられないものは心に残しておくべきだと私に言ってくれたことは一生忘れません。だから今度はエニシさまに返します」
「………」
「忘れられないものは忘れようとしてはダメですよ。その絆を強く大切にしてきたのは紛れもないエニシさま自身でしょう?」
そうだ。俺は今までたくさんの依頼者と会った。そこで間違った考えを指摘して、神様なんて言葉を利用して上から説教したこともあった。
客観的に、第三者として学んだことは多くある。
それなのに……自分のことになるとなにも分からない。その迷いを見透かして小鞠は俺の道しるべになろうとしてくれている。
情けないな、本当に。
俺にできること、俺が伝えたいこと。それを一晩中考えて、まだ空に星空が浮かぶ中、拝殿の外へと飛び出した。



