心ときみの物語



その日の夜。ぼんやりと暗闇の中で横になること数時間。

寝つきは昔からいいほうで、特技なんてないけれど20秒あればすぐに落ちる寝つきの良さを特技として人に言ったことは数知れず。

それなのに眠れない。

目を瞑ってもなにをしても寝れる気がしない。


「つーかなに?座敷わらしにでも転職したの?」

ずっと俺を見つめる視線。その先には小鞠がいて正座をしながらなにかを言いたそうにしている。


「エニシさまの心がひどく寂しそうなので」

「寂しくねーよ。むしろそうして暗闇から見られてるとこえーよ」

ゴロンと小鞠に背中を向けて俺はまた目を閉じた。すると小鞠がぽつりと口を開いた。


「私思うんですが」

「……40文字以内でまとめろ。長話を聞く気分じゃねーんだ」

「ずっと心春さまへの想いを断ち切れなかったのはエニシさまのほうじゃないんですか?」

「………」

「あれ、文字数はオーバーしてませんよ」

「うるせーな」

不機嫌なふりをした。その背中を見ながら小鞠が深いため息をこぼす。