心ときみの物語


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次の日。心春が神社に来て3日目だというのにまだその縁はギリギリのまま繋がっていた。

パラパラと本を読みながらこの紙の匂いが懐かしい。俺はなぜか久しぶりに大学の図書館にいた。

やっぱりこの空間も2年前とは変わらずに、穏やかな時間が流れるこの場所が大学では一番好きだった。

夢や目標なんてなかったけど、やっぱり卒業したかったな……なんて今さらそんなことを思ったりする。


「縁」

振り向くとそこには心春の姿。

今日俺がここに来たのは心春ともう一度話をするため。昨日あんなに冷たくしたのに心春は変わらない笑顔で笑う。


「学会の研究発表緊張しちゃった。みんな真面目に聞いてくれたけど、私の話し方が下手すぎて申し訳なくなっちゃった」

心春は今日、世話になった先生に頼まれて心理学研究のことを在学生たちに話したらしい。まあ、だから俺はわざわざここで待ってたんだけど。

「人見知りがだいぶ成長したじゃん」

「うん。毎日患者さんと向き合ってるからね」

こんな話をしているとまるで昔に戻ったような気になるけど、俺たちの距離は昔とは違う。