暫くして、鳥居の向こう側から人影が見えた。坂道をゆっくりと真っ直ぐに歩いてきて、スローモーションのように心春と目が合った。
「……縁」
「縁じゃねーよ。エニシさまだ」
ずっと胸がざわついていたのに、俺の中のエニシとしてのスイッチが自然と入った。
昨日はどうやって話をして、どうやって心春を帰したのか記憶がない。だけど楽しい雑談だけでは終われないから。
「ここはなにも変わらないね」
心春は今日も俺がプレゼントしたピアスをしていた。髪色は黒髪から淡いブラウン色になっていて、顔つきもとても凛とした女性になっていた。
「神社は変わらねーよ。100年後もきっと同じ形をしてるよ」
そう返すと心春は微笑んで、はあと白い息を空にはいた。
脳内に浮かぶのはあの互いに気持ちを確かめ合った大学2年の春のこと。15年前に出逢っていたことを知って、運命を少しだけ信じて、心春が俺の彼女になったあの日。



