心ときみの物語


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次の日。灰色の空からはまたパラパラ雪が降り始めた。境内に並んでいた雪だるまはまだ体を寄せ会うようにして並んでいる。

「本当にこんなに雪が続くなんて珍しいですね。 私は寒いの大好きなんで大歓迎ですけどね」と小鞠はうっとりと足元に降りてくる雪を見つめていた。


「なら雪国にでも逃避行しちまうか」

「え、エニシさまとなんて嫌ですよ」

「冗談だよ。真顔で拒否んなよ」

と、その時。タッタッと前から靴音がして、その人物はすっと俺の体を通り抜けて壁に立て掛けてあるスコップを手にとった。


「あらあら、こんなところにありましたよ」

「置きっぱなしにしてたら危ないだろ?」

「すいません。今朝雪かきをした時のまま忘れてたみたい」

スコップを握る母ちゃんに、それを叱る親父。
そのあとふたりは参拝者が歩きやすいように雪を端に寄せはじめた。


両親に俺の姿は見えない。

俺のことが見える人と見えない人にはそれなりの定義がある。

例えば無関係の人間だったり、すれ違うだけの人なら俺はどうやら見えるらしい。ただし生前に俺を俺だと認識してる人や記憶に残ってしまいそうな人。

それから身内に友達。一度でも深い関係があった人たちには俺の姿が見えない。あるひとつの例外を除いては。

それは依頼者として俺と一時的に縁を結ぶこと。そうすれば俺は依頼者の目に映ることができる。


依頼関係は何度も結べない。

一度縁切りを頼みにきた人はこの先それ以上に切りたい縁が生まれたとしても、依頼をすることはできない。

つまり、縁切りのチャンスは一度だけってこと。