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次の日。午前中から俺の検査ははじまった。さっさとやってすぐに終わると思いきや、1日目は血液検査。二日目はCT。三日目はMRI。その他諸々の検査を5日間に分けて行(おこな)って、結果が出るのはこれまた1週間かかる。
「……はあ」
俺は病室の窓を見てはため息を繰り返していた。
なんでこんな面倒なことになってしまったのか。病院は暇で退屈だし、なにより大学が心配だ。
ただでさえ単位がギリギリなのに……。
「縁」
ひょっこりと扉から顔を出したのは心春。
心春は俺が入院してから毎日のように来てくれる。それが今の唯一の楽しみだと言ってもいい。
「ぼーっとしすぎて干からびるところだった」
「あはは。でも縁って私から見ればいつもぼーっとしてるイメージだよ?」
「やることがあってぼーっとするのと、やることがなくてぼーっとするのじゃ意味が違うんだよ」
「はいはい。それで検査結果は明日出るんだよね?」
心春は駅前でアイスを買ってきてくれた。それをスプーンですくって俺の口に入れてくれると、すぐに甘いバニラの香りが鼻に抜けた。
「結果次第ではすぐに退院なんだよね?明日は出なきゃいけない講義がたくさんあるから間に合うか分からないけど……」
「あーいいよ。家に着いたら連絡するし」
結果というよりも、これで長かった入院から解放されるという気持ちのほうが強くて。
だから俺は検査結果の日を早く早くと待ちわびていたことは事実。そして夜が来て日が昇って、次の日になった。



