心ときみの物語


「なに?」

「ちょっと遅くなったけど」

ハート型の箱を開けるとそこには花のピアスがひとつ。

心春の誕生日は先月の中旬。もう2週間も過ぎてしまったけど忘れていたわけじゃない。

恋愛初心者じゃないくせに誰かにプレゼントを贈るのは初めてで。なにしようか頭を悩ませていたらこんなにも過ぎてしまった。


「片耳だけのピアス。ちょっと派手かなって思ったんだけど」

花屋や雑貨屋を巡りめぐって。なんか違うなあとまた悩み、アクセサリーショップに入った時に見つけたのがこのピアス。

花の型の中にピンクやオレンジのスワロフスキーが重なるように寄り添っていて。ワンポイントにパールがひとつだけ付いている。

アクセサリーショップに入るとすぐに店員が声をかけてきて、色んなものを薦められたけど最終的には自分で決めた。

しかもプレゼント用だと話すとハート型の入れ物はどうですか、なんて言われるし。

本当にプレゼント選びって気恥ずかしいし、向いてないし、店では浮きまくりだし。なにやってんだろ、って何度も自問自答してしまったけど……。


「泣くなよ」

ポロポロと涙を流す心春の頭を撫でた。


「だって嬉しくて……」

誰かのためになにかをしたいなんて思ったことはなかったのに、心春はどんどん俺を変えていく。

「誕生日おめでとう」

「ありがとう。縁」

さっきのふて腐れた顔はどこへやら。心春は嬉しそうに俺に抱きついた。