心ときみの物語


不思議だけど心春と肩を並べて歩いていると心が癒される。この浄化されている境内の空気のように心春は純粋だから。

「私さ、なんだかここを歩いていると懐かしい感じがするんだよね」

「懐かしい?」

「うまく言えないんだけど、たこ焼きの匂いとか甘い匂いを思い出すっていうか……」

心春がムズムズとした顔をしていた。


「あー、祭りじゃね?たしか15年ぐらい前まではここで夏祭りを……」

「思い出したー!」

突然心春が大声を出すからビックリした。心春は記憶の糸を辿るように「そうそう!」とひとりで納得している。


「そうだよ。お祭り!たまたまこの辺に遊びにきてて、その帰りにどこからかお囃子の音色が聞こえてね」

心春の言葉と一緒に俺の記憶もよみがえった。

15年ほど前までは夏といえば神社。神社といえば祭りというほど高嶺神社では毎年夏祭りを開催していて。

たこ焼きやわたあめ。それからかき氷と夜の神社がライトアップされて浴衣の人で溢れていたっけ。

出店の人たちからは準備の段階で仲良くなって、俺は可愛がられていた。『これ持ってけ』なんてリンゴ飴を貰ったりして、優越感たっぷりで歩いていたことを思い出す。