それは高嶺神社。
心春は前々から神社に行きたいと言っていた。
だけどお互いの講義の時間やスケジュールが合わなくて、やっと待ち合わせして心春を連れてきたというわけ。
ざわざわと出迎えるように木々が風で揺れていた。その本殿へと続く傾斜がある一本道を心春と歩いて。
真っ赤な鳥居を抜けると心春は「わあ……」とため息まじりの声を出した。
神社の外観や作りはそれぞれの場所で異なって、その特色も違う。高嶺神社のカラーは緋色の燃えるような赤。
その外観は他の神社に比べても美しいと言われている。
まず手水舎で手と口を清めて、心春は本殿の前の参拝所へ。まずは鈴乃緒を鳴らして賽銭を入れて二礼二拍一礼。
その横顔と手の合わせ方が妙に綺麗で。つい見すぎている自分に気づいて目を反らした。
「ねえ、向こうにはなにがあるの?」
境内の中を歩きながら、ふと心春が指をさす。
それは神社の裏手。まるで秘密の入り口のように薄暗い場所に石段があって、今は誰も近づかない。
「ああ、昔の拝殿。元々小さい神社で近所の人しか知らないような場所だったんだけど、今じゃこんなに大きくなっちゃって」
「そうなんだ。行けるの?」
「行けるけど蜘蛛いるよ」
「う……」
心春はすぐに心が折れた。



