そもそも心春が男と連絡を交換しても問題はない。男友達のひとりやふたりいればそこから交流が生まれる場合もあるわけだし。
「まだ友達って呼べないけど、これから仲良くなれたらいいなって思うよ」
「そっか」
なんで俺はあんなにイライラしたんだろうか。
自分でもよく分からない。
「それで縁はなんの本読んでたの?」
心春が突然話を変えて、俺の本を触ろうとしたから思わず体の下に隠してしまった。
「え、なに?すごい気になる」と心春はチラチラと隠した場所を見ている。
「大した本じゃねーよ」
「怪しいなあ。あ!分かった!エッチな本でしょ!」
「はあ?そんなもんが大学の図書館に置いてあるわけねーだろ。バカかよ」
「あはは……そうだよね」
心春は諦めたと思いきや、俺の隙をついて「えい!」と本を奪い取った。その表紙に書かれた題名を声に出す。
「神道の……定義?」
首を傾げたところで俺はすぐに本を裏返した。
俺が神社の息子だということは誰にも言ってない。べつに隠す必要もないけど、わざわざ言うことでもないから。
高嶺神社はわりと有名だし、正月の初詣なんて人混みで泳げそうなほど参拝者がくる。高嶺って名字は珍しいから、それで勘づかれたりすることはあるけど……。



