「いらっしゃいませ~。」

 一ヶ月がすぎた。

 青山は元の感覚を取り戻し、すっかり、コンビニ店員として落ち着いていた。

 もう、ブルーじゃない。

 俺はカミレンブルーじゃない。

 どこにでもいる普通のフリーターだ。

 夢も、希望も、将来の保障も何もない、どこにでもいるフリーターだ。

「う~ん・・・・・・・・俺・・・大丈夫なのだろか・・・・。」

 ボケる者もいないので、セルフボケツッコミ。

 ちょっと寂しい・・・。

「おぅ~青山。良いところに、さっきそこでいつものヒーローショーがやってたぞ。せっかくだから、見に行ったらどうだ?」

 どこかに消えてた先輩が顔を出したとたんそんな言葉を口にした。

 いつもの?

 俺・・・そんなの聞くの初耳なんだけど・・・?

 まさかとは思うけど・・・。

「ヒーローショーって・・・『カミレンジャー』とかワケの分からないヒーローじゃないでしょうね?」

「そう、そのワケの分からない、お惚け戦隊漫才・・・。あれ、俺好きなんだよなぁ~・・・いつもゲリラライブやるから、中々見れなくて・・・。」

 戦隊漫才って・・・。

 なんだか、とても納得できてしまうのは気のせいだろうか・・・?

「俺は良いですよ・・・。」

 顔を伏せて否定した。

 今さら自分のいないカミレンジャーなんて見たくない・・・。

 自分がいなくても、しっかり活動できるカミレンジャーなんて、見たくない・・・。

 分かってるんだ・・・。

 分かってたんだ・・・。

 自分がいなくても・・・自分なんかがいなくても、あいつらはうまくやる。

 あいつらは、何も変わらず、カミレンジャーなんだ・・・。