あの日に出来なかった告白。
 もう諦めようと思った願い。
 そばにいられないと思った時の悲しさ。



 優しくしてくれる翼。
 困っていると助けてくれる。
 いつも隣で笑っていてくれた。



 全てが混ざって、
 本当の"好き"に出会えた気がする。



 桜が散っていく寂しさや、咲いた瞬間の嬉しさや美しさ。
 恋色に染まったそれは、まるでわたしたちみたいで恥ずかしくなった。




「好きだった。ずっと、翼を見てた……」




 わたしは翼の手を取り、思いっきり引き寄せる。
 これは照れ隠し。




「うわ、と……っ!」




 びっくりした翼がわたしの上に倒れ込む。



 それと同時に強い風が吹き、桜の花びらを舞い上げた。