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 あいつはいつも、どんどん先へと羽ばたいてしまう。



 わたしは追いかけるのがやっとで、それでも全然追いつかなくて、焦ってばかりいた。



 そうやって先に行ってしまうくせに、時々気まぐれで戻ってくる。何をしに来たかと思えば、わたしに手を差し伸べてくれた。



 わたしなんか気にしないで、ずっと先へ行ってしまえば……もっと世界は広がるのに。



 あいつはバカだって思う。



 わたしなんかに構わないで。



 そう思う一方で、わたしは差し伸べてくれた手を掴もうとしている。



 まるで、わたしがあいつを利用しているみたいで、すごく嫌な奴に思えてくる。