口の中で飴玉を転がす。
飴。
傘。
漫画。
思い出。
そうちゃんとはいろいろなものをたくさん半分こしてきたけど、これからもたくさん半分こしていけたらいいな。
たくさん共有して、一緒に笑って、一緒に過ごしていけたらいい。
「今日の晩ご飯なんだろうね」
「なんだろうな」
わたしはシチューがいいなあ、俺は肉ならなんでもいい、じゃあシチューかな、と言いながらのんびり歩いた。
周りの家からいい匂いがもれ始めている。夕ご飯の、夕方の匂いだった。
「じゃあ、また後で連絡する」
わたしの家の玄関前で一旦立ち止まる。
「うん。九時くらいから大丈夫?」
「ん。大丈夫」
「分かった。また後でね、そうちゃん」
「ん。また後で、みい」
お互いに名前を呼び、そっと手を振って、名残惜しく別れた。
今日もわたしの家の扉が閉まってから、お隣の扉が開く音がする。
ほんの少し変わったやりとりは、いまだ慣れない。
ん、とか、柔らかい語尾とか、知った言葉の意味がわたしを照れさせる。
幸せで愛おしくて、大事にしたかった。
ねえ、そうちゃん。
これからも隣にいさせてね。
飴。
傘。
漫画。
思い出。
そうちゃんとはいろいろなものをたくさん半分こしてきたけど、これからもたくさん半分こしていけたらいいな。
たくさん共有して、一緒に笑って、一緒に過ごしていけたらいい。
「今日の晩ご飯なんだろうね」
「なんだろうな」
わたしはシチューがいいなあ、俺は肉ならなんでもいい、じゃあシチューかな、と言いながらのんびり歩いた。
周りの家からいい匂いがもれ始めている。夕ご飯の、夕方の匂いだった。
「じゃあ、また後で連絡する」
わたしの家の玄関前で一旦立ち止まる。
「うん。九時くらいから大丈夫?」
「ん。大丈夫」
「分かった。また後でね、そうちゃん」
「ん。また後で、みい」
お互いに名前を呼び、そっと手を振って、名残惜しく別れた。
今日もわたしの家の扉が閉まってから、お隣の扉が開く音がする。
ほんの少し変わったやりとりは、いまだ慣れない。
ん、とか、柔らかい語尾とか、知った言葉の意味がわたしを照れさせる。
幸せで愛おしくて、大事にしたかった。
ねえ、そうちゃん。
これからも隣にいさせてね。


