「うん」


早口にかすれた声が落ちた。


そうちゃんを見つめてみたけど、真っすぐ前を向いていて、固くこわばった横顔しか見えない。


「……なんでって、それは」

「うん」


かすれた声が再び降る。


そうちゃんは唇をわななかせて一度引き結び、開け、何かを言おうとして喉を詰まらせた。


睨みつけるみたいにやっぱり一心に前を向いたままのそうちゃんが、ゆっくり口を開く。


「……みい」

「うん」

「ねえ、みい」

「うん」


あのさ、と言い淀んだそうちゃんは、全てにうんと相槌を打ったわたしに、ひどくかすれた声で続けた。


「…………それ、俺に言わせるの」


絞り出すみたいな、途切れ途切れの言葉。

その意味。

そうちゃんの一面真っ赤な顔。

への字に結ばれた口元。


え。

ええと。


……あれ?


もしかして、というかもしかしなくても、今の間にわたしに自分で分かって欲しかった感じかな……!?


ようやく落ちてきた声があまりに困っていた。


困っていて、照れていて、少し恨めしげで。


え。あれ。あれ……?