うーん。


でももう怖くないし、全然びっくりしないし、大丈夫なんだけどな。

大丈夫だから、もっとぞんざいでいいのにな。


もっと親しげというか、仲良くというか、もっと、こう。


距離が近いゆえの、信頼があるからこそできる、ざっくばらんな感じの扱いってあると思う。


高校生のそうちゃんは、そういう扱いをしてくれない。


寂しくはないけど、ちょっと気にはなる。


「そうちゃんってさ」


おそるおそる切り出したわたしに、そうちゃんはやっぱり、ん、と相槌を打った。


「わたしには『ん』って言うよね」

「…………」


まさに「ん」と短く頷こうとしたそうちゃんが、途中で固まった。


「わたしには、おまえってあんまり言わないし」


他の人にはおまえって言うけど、わたしにおまえって言ったのは数回だけだ。


今はなおさら言わなくなっていて、喜怒哀楽のすべてでみいと呼ぶ。


「それがどうしたの」

「なんでかなあと思って」


いや別に、うんって頷いて欲しいとかおまえって呼んで欲しいとかではないんだけど。


そうじゃなくて、そうじゃなくてただ、ちょっと、ほんのすこーしだけ、まだ距離がある感じがするというか。


もしそうなら、あと少し距離を詰めたいなあと思う。


「なんでって」