「みいちゃん」


そうっと伺うようにひっそり呼びかけられたので、そうっと返事をした。


「うん? なあに?」


こそこそ。


「寝たかなーと思って」


ひそひそ。


「まだだよ」


こそこそ。


「うん。寝られそう?」


ひそひそ。


「うん。大丈夫」


こそこそ。


「そっか。よかった」


ひそひそ。


……笑った気配がした。


背中越しに、布団の向こうから、そうちゃんが優しく笑った気配がした。


きゅうと胸が痛くなって、口を引き結ぶ。


「……うん。ありがと」


声が湿りそうになって、無理矢理平坦にして注意深くのせた音は、その甲斐あって歪まなかった。


…………くそう。ああもう、ほんと、泣きそうだ。


お互いに少しずつ言葉を飲み込んだのが、多分お互いに分かった。