お母さんにはそうちゃん家に行くねって言ってあるし、隣だからまだ大丈夫だと思う。

でももう真っ暗だし……。


そうちゃんが心配してくれているのも分かる。

分かるけど。


続き読みたいなあ、とまだ帰りたくないなあ、と真っ暗だから帰らないとなあ、とが混ざって。


「はー、そうちゃん家いいなあ、帰りたくないなあ……」


ほろりと、思わずこぼれていた。


「じゃあとま、」


何か言いかけて慌てて口をぱたんと閉じたそうちゃんに、漫画を追っていた目を上げる。


とま?


とま……?


「なあに?」

「……なんでもない」


振り返って聞いてみたけど、いや、とうろうろ目を泳がせるので、ずずいと距離を詰めて顔を覗き込む。


「なんでもなくない」

「…………」


目が合って、逸らされて、じいっと見つめていたらしばらくしてまた目が合って、口をへの字にしたそうちゃんが、ゆっくり口を開いた。


「……うち泊まる? って言おうかと思ったけど、普通に隣だから帰った方が便利だなって思い直しただけ」


え。