「お前は前代未聞の問題児だ」

「はぁ……それは光栄ですね」

「高畑」

武田さんは眉間に皺を寄せたまま咳払いする。
私は覚悟していた。また長い長いお説教が始まるのを。

しかし、武田さんはお説教の代わりに

「そんなにレポートを出すのが嫌なら、別の課題をだしてやってもいいぞ」

と、私に一つの提案をしてきたのだった。

「別の、課題?」

「あぁ」

「それをやったら、研修レポートはチャラになります……?」

恐る恐る尋ねると、武田さんは黙ったまま頷く。


私は「1年の呪縛から解き放たれるのなら、何でもいい」と瞬時に思った。
一気に目の前が、パアっと明るくなった気がした。


「それは、どんな課題なんですか?」

「秘密だ。さあ、選べ。レポートを仕上げるか、新たな課題に挑戦するか」


武田さんはニヤリと口元を歪ませた。
その不気味な笑みに嫌な予感がしなくもなかったが、私の答えは既に決まっていた。

「新しい課題をお願い致します!」