「あの~、このあとのみにいきませんか~?うちら今フリーなんですぅ~!」

玲奈は水の入ったコップをかかげながら、大声をだした。

「ちょ、やめなって!」

私は呂律の回ってない、隣の酔っ払いを軽く叩く。

「すみません、この子酔うとすぐこーなっちゃって」


いえいえ、と彼らは苦笑い。

えええ~!と子供のように駄々を捏ねる玲奈に

「お兄さん達お仕事中なんだから、邪魔しちゃだめでしょ。明日も仕事だしもう帰るよ」

と、諭すように言ったけれど、彼女はそう簡単に折れない。

「おねがいします~!せめてLINEだけでも~」

稲森さんの手を両手で掴み上目遣いで見つめてとおねだり開始。

流石は女豹……。


稲森さんは、いやぁ~、それは……と言いながらも、
玲奈の豊満な胸をチラチラと見ている。

その表情は満更でもなさそう。

反応がわかり易すぎる。

もう、本当に男の人って……

風見さんは、そんな2人を、ニコニコと見守っている。
私は小声で、すみません、と謝った。

「いえ、楽しいお酒が飲めたようで良かったです」

風見さんは、素敵な笑顔をこちらに向けてくれた。
目尻がたれて、瞳がキラキラと輝いている。

肌が白くて、鼻筋がすっと通っていて、大人の魅力が漂っていた。
私より、きっと2、3歳年上だろう。