「そりゃあ…プレイボーイで何かとウザいけど……友達想いで優しいんだよ、斗樹って」
すぐ気に障ること言うし、ムカつくことばかりだけど、それでも嫌いにならないのは“幼なじみ”という腐れ縁だからなんかじゃなくて、ただ斗樹のいいところを知っているからだと思う。
私たちは傍から見たら仲が悪く見えるかもしれない。
でも、私たちはそれなりに見えない絆で繋がっているんだ、なんて思ったりもしてる。
「大切に思ってるんだね、彼のこと」
炭谷くんの言葉が胸の奥で引っかかった。
私は…斗樹のことを大切に思ってる?
でもそれは“幼なじみ”としては大切に思ってる。
でも、それ以上でも以下でもない。
「うん。幼なじみとしてね」
「じゃあ、俺にもまだチャンスある?」
え……?それはどういうこと?
チャンスって……?
頭の中でグルグルと“チャンス”という言葉だけが回るけど、一向に答えは出てこない。
「俺、榊原さんのこと好きなんだ。」
一瞬、空耳かと思ったけど少しだけ頬を赤らめて言う炭谷くんを見ていると現実だったんだと実感する。