「俺だって、お前のこと…好きなんだっつーの……」
だけど、印をつけたのは間違いだったかもしれない。
だって、その印を見れば見るほど報われない恋なのだと思い知らされているように思えるから。
「……っ。」
「俺とアイツは違う。
アイツの方が俺より全部上だ…成績も性格も全部…でも…」
俺がアイツに勝てる要素がないのはもう重々わかってる。
俺はあんなに優しくできないし、ニッコリとも笑えない。
ミナには意地悪や悪口ばっかりしか言えない。
それに、頭も賢い。
唯一、勝てるとしても運動ぐらいだけど炭谷は運動神経までいいらしいからひょっとすると俺より上かもしれない。
でも……
「お前のことを好きな気持ちはアイツにも誰にも負けない」
これだけ言いきれる。
俺はアイツに何も勝てなくても、これだけは勝てる。
この世でミナのことを
一番大切に思っていて大好きなのは俺だと思う。
「き、今日はもう帰って…!」
そう言って突き飛ばされて、ミナは布団にまるで猫のように体を縮めてくるまった。
俺が怖がらせた。
あんなことをしたから、感情のままに動いてしまったから。
コントロールできなかった。
もう、心と体が一致した考えを出さなくて本能のままにミナを求めてた。
「ごめん……ミナ。」
布団にくるまっているミナにそれだけ言うと俺はテキストを持って今度はちゃんと玄関から家へと帰った。