「はぁ…!す、炭谷くんならこんなことしないよ…!」


大人しくなったと思ったから手を離してやるとまた炭谷の名前を出した。


ここで見逃すほど俺はできた人間じゃない。
もう、止まらない…止められない。



「アイツの名前なんて言うなよ。俺といるんだから」



「あ、頭おかしくなったんじゃないの…!?」


「お前こそ、アイツの名前ばっかり呼んでそんなに好きなの?」



ミナの頭の横に手をついて、もう片方の手で抵抗するミナの手を優しく押さえつける。



ウザイんだよ、お前らが。
ミナの心を奪っていく炭谷が、そんな炭谷に簡単に落ちてるお前が……。



ずっとそばにいた俺のことなんてまるで無視か?
俺は昔からお前しか見てないっていうのに。



他の女と遊んでてても付き合っても何も言わない。
嫉妬もしない、ただ『自慢するな』としか言わない。



「そ、そんなんじゃ…ひゃあ…!」



ミナの言葉の続きを聞く前にさっきからチラつかせていたうなじに吸い付いた。


これが俺の精一杯の反抗と好きの印だった。


白い肌に綺麗に赤く色づく、両想いのお前らへの反抗とミナのことが好きで好きで仕方がない、そんな気持ちが込められた印。