「食いしん坊みたいな言い方しないでよ」
「実際食いしん坊なんだから仕方ねぇだろ」
「うるさいな。別に食べるのが好きなんだからいいじゃない」
食べ物を食べてたら幸せ気持ちになれる。
美味しいもの、大好物を食べているときなんてもうそれはそれは最高の気分。
それをバカにしてくるなんて、つくづくひどいと思う。
「まあ、俺はミナが食べてるところ見てるの嫌いじゃないけどな。」
「な、なによそれ…!」
「太んなきゃ許す」
ハハッと短く笑いながら両手をポケットに突っこむ。
そんな姿は様になっていて、かっこよく見えてしまう。
見慣れた斗樹なのにね。
目が悪くなってきたのかもしれないなあ。
「それ、失礼だから」
「ウソだよ、ウソ。太っててもミナは可愛いだろうしモチモチしてて触り心地良さそう。俺の抱き枕になる?」
はあ?
コイツの発言にはもう呆れてものも言えないレベル。
ちょっとでもカッコよく見てしまったのが恥ずかしくなるよ。
何が触り心地が良さそうだ、俺の抱き枕になる?だ。
そんなのただの変態発言だから。
そういうところはまだチャラさとプレイボーイの名残が抜けてない。
「変態!」
「男なんかみんな変態だっつーの」
それから私たちは訳の分からない“男はみんな変態”についての言い合いをしながらそれぞれの家に帰った。
斗樹が来るみたいだし一応掃除しとくか。
っていっても五分後にはもう来てるんだけどね。
カバンを置いて、机にテキストを置いて準備を始め、斗樹が来るのを出しておいたお菓子をつまみながら待った。



