【完】お前のこと、好きすぎてやばい。





「そ、そろそろ離して?」



もう、これ以上は心臓が持ちそうにない。
だけど顔が赤くなっているのに気づかれたくなくて必死で平然を保つ。



「んじゃあな」



すると、彼はそういうとあっさりと私から離れ、手のひらをヒラヒラとさせながら歩き始めようとする。



「えっ……」


え…?一緒に帰らないの?
そう思っていたのは私だけなのかな?


そうだとしたら、だいぶ恥ずかしいんだけど。



「なに?なんか言うことでも?」



私のつい露わにしてしまった動揺に気づいたのかわざわざ振り返り、首を傾げる。



「い…一緒に帰らないの?あれはウソ?」



ウソなら何のためにウソなんかついたの?
斗樹の考えていることがたまに分からなくなる。


小声で言ったのにちゃんと私の声を拾ってくれて
それに応えるかのようにニコッと無邪気に、嬉しそうに笑った。



「その言葉を待ってました。
そんなにミナも俺と帰りたかったんだな」



「は…!?別にそんなわけじゃないし!!」



「いいからいいから。俺にはちゃんと分かってる」



心の底から嬉しそうに笑う斗樹は自意識過剰だけど
余程私に惚れているのだと思う。


残念ながらその恋は叶わないけどね。