「お前はしっかりしてるくせに
たまにあぶなっかしいところあるからな」
また、何かもかも分かりきったように言う彼。
でも、助けてくれたから今回はツッコまないであげよう。
「ていうか、久々にミナの口から『ありがとう』とか聞いたんだけど」
そう、彼は私のことを唯一“ミナ”と呼んでいる。
それはもう昔からで今更変えることはできないんだとか。
私の名前は榊原南帆(さかきばら みなほ)
ミナホの“ミナ”をとってそのニックネームらしい。
私は斗樹のことをとくに変わった呼び名で呼ぶことは無い。
あ、でも昔は“とっくん”って呼んでたような…?
今じゃ、そんな呼び名なんて恥ずかしくて絶対言えないけどね。
「私だってちゃんとお礼ぐらい言えるし」
「偉い子偉い子〜」
そう言って、私の頭を当たり前のように撫でようとしてくる彼の手をバシッと軽く叩いて止めた。



