【完】お前のこと、好きすぎてやばい。





あー、もう斗樹が彼女できたとかいらない報告のせいで朝からこんなにイライラしてる。


別に嫉妬とかそういうんじゃない。


ただ、ちょっぴり羨ましいだけ…


斗樹はフレンドリーだからみんなから好かれてるし
そんな彼と幼なじみっていうことはほんのほんのちょこっとだけ私の自慢でもある。


本当にちょこっとだけだけどね。


考え込みながら、「待てよ!」という斗樹の声を無視して先を進んでいると


いきなり、腕をぐいっと後ろに引っ張られて体が誰かのお腹らへんに当たった。



え、なに…?



「ったく…あぶなっかしいやつ。

ちゃんと前見て歩けよ、バーカ」



どうやら、私の腕を引っ張って引き寄せたのは斗樹らしい。


そうした理由は、私が考え事をしていたせいで信号無視をして横断歩道を渡りかけたからだ。


呆れたように言う彼だけど、その表情は心なしか安堵の表情にも見えるのは気のせいかな…?



「あ、ありがとう」



いくら幼なじみだといっても男の子だ。



あんまり、男の子と接点のない私は少し鼓動を早まらせながらそれを斗樹に悟られないように平然を保とうと必死。



だけど、すぐ隣を見上げれば彼がいて
いつの間に斗樹はこんなにも身長が高くなっていたんだろう…など思うことはたくさんあった。



幼い頃は同じぐらいの背丈だったのに。
いつも隣にいたのに気づかないうちに斗樹は私の知らない斗樹になっているのかも。



なんてことをふと思った。



そりゃあ、幼なじみだけどいつかはそれぞれ好きな人と結婚して家庭ができて会う機会も少なくなるんだろうな。



それはそれでちょっと寂しいかも。
いつも一緒にいたからこそ、斗樹がそばにいないなんてなんかソワソワして落ち着かない。



けど、それもきっと慣れる日が来るんだ。



それが普通のことだから。



私は斗樹がいなくても全然余裕だし。
むしろ、そっちの方が楽でいい。