【完】お前のこと、好きすぎてやばい。





斗樹がテレビの話をする時は決まって、『あの番組はしょうもなかった』とか『オススメはしない』とか最高にどうでもいいことしか言わない。



「あんたが言いそうなことなんか分かりきってるから」



「へぇ。ま、俺もわかるけどな」



得意げにフッと鼻を鳴らして言うからイラッとした。


あんたに私の何がわかるのよ、バカ。



「いや、あんたみたいな単細胞には分かんない」



「お前はほんと俺の悪口しか言えないわけ?」



「朝から嫌な気分だぜ、まったく」とか言いながらも絶対に私をほっては行かない。



そういう所はちゃんと優しいって分かってる。
でも、それを口に出したら絶対に調子に乗るってことも分かってるからこそ言わないだけ。



「ほら、やっぱり私のことなんか分かってない」



私が今、あんたのこと心の中で褒めてるってこと分かってないじゃん。



「はあ?意味不明」



眉をひそめて、心底意味がわからないという顔をする。



「別に意味不明でいいから。早く行こうよ」



これ以上、彼と話しているとイライラが爆発しそうだから私は歩くペースを上げる。


まあ、人の心なんて読めるわけもないけどね。
いくら幼なじみだからってエスパーじゃないんだから。