「…好きなんだよな、炭谷のことが」
弱々しいその声に胸がぎゅうっと締め付けられる。
なによ、こんな時に弱った声なんて出さないでよ。
私の良心が痛むじゃんか……。
それに、湿布を貼る手を止まってジッ、とその湿布を見つめているし。
「……」
「分かんだよ、そんなの。
何年お前と一緒にいると思ってんの?」
黙っていると、斗樹が顔を上げてヘアピンで前髪を上げているから余計に彼の表情が分かる。
切なげに揺れている瞳を私に向けて、はぁ…と深いため息を吐いた。
「別に言いたくないなら言わなくていいし。
てか、そんなこと聞きたくねぇーし?」
はぁ?
さっきまですごい聞きたがってたくせに。
開き直るの早すぎでしょ。
「なら、言わない」
「はいはい。
ちょうど、治療も終わりましたとさ」
ついさっき足首に貼られた湿布が赤く腫れた足をひんやりと冷やす。
だけど、湿布の上から斗樹が軽くポンポンッと叩いた。
それだけで足には激痛がはしる。
私の中にもだんだんと腹立たしい気持ちが湧いてくる。



