【完】お前のこと、好きすぎてやばい。





保健室の中に入るとこんなときに限って先生が不在でがっくりと肩を落とす。



そんな私のことなんて知りもしないで丸いイスに足を気遣いながら座らせてくれた斗樹。


こういうところは紳士的なのが逆にこっちとしてはムカつくんだよね。



さっきまでは意地悪で俺様全開だったくせに。
今は真剣な顔して救護箱とか湿布を探して棚と睨めっこしてるし。



「これぐらい自分で治療できるから斗樹は試合に参加してきてよ」



湿布を貼ったりすることぐらい一人でもできる。


それよりも斗樹は試合を投げ出して私のところに来てくれている。



しかも、決勝戦という重要な試合なのにも関わらずにこんな私のために……。



「うるせぇな。今、集中して探してんだから怪我人は黙ってろ」



焦りや心配そうな表情とは裏腹な言葉が彼の口からは飛び出して私の耳に届く。



「なっ…!大丈夫だって言ってるでしょ!?

それよりも試合放棄してどうするわけ!?
あとからグチグチ言っても聞いてやんないからね!」



思わず、立ってしまいジーンっと痛みが足を刺激する。


どうして斗樹には素直に『大事な試合を放っておいてまで助けてくれてありがとう』って言えないんだろう。



もう昔からの接し方だから癖なのかもしれない。