「その前に一発殴っていい?」
私に拒否権ないなんて言いやがって。
そういう俺様なところとかほんとムカつく。
いっつも、余裕そうで超ポジティブなくせにたまに見せる真剣な表情とか…。
「はぁ?この俺様を殴ろうだなんて百年はや…いってぇ…!」
「誰があんたの言うことなんて聞くか、バーカ!さっさと負けてこい…!」
私は斗樹の俺様発言を聞く前に軽く一発肩にパンチを食らわせた。
すると、少し痛かったのか顔を歪ませながらチッと舌打ちをしたと思ったら私の顔をジッと見て
「さてと、一瞬で終わらせてお前のさぞかし悔しそうな顔を拝ませてもらうとするか」
余裕そうな笑みを浮かべ、パサッと私の頭にタオルを被せ自分はスタスタとコートへと向かった。
「……それはこっちのセリフだし」
そう呟いたのはきっと斗樹には聞こえていない。



