【完】お前のこと、好きすぎてやばい。





まだ決勝戦じゃないからなのか、みんなは手を抜いているけど斗樹だけは違う。


華麗なステップに俊敏な動き


彼は今手加減などしていない。
本気でバスケをしているということは一目見ただけでも分かるほどだ。


だって、普段とはまるで目が違う。


真剣な瞳で、ボールを追いかけているけど真剣さだけではなく、


楽しさも彼のプレーからはちゃんと伝わってくる。



ここが斗樹のすごいところだったりもする。


何事にも手を抜かない、いつも全力で……まあ、一番大切な勉強面は例外らしいけど。



「「きゃー!!斗樹かっこいいー!!」」



二階のあちこちから斗樹への黄色い声が耳に届く。


だけど、いつもなら対応する斗樹もスポーツのときとなると完全に無視。


斗樹にボールが回ってきてドリブルでゴール前まで来たと思ったら、軽くジャンプしながらボールをリングめがけてシュートした。



すると、ボールは弧を描くようにスッと気持ちいいほど綺麗に彼の打ったシュートは決まった。



わぁーっ!!と湧き上がる歓声。



一方、ゴールを決めた斗樹は無邪気な笑顔を浮かべ、心の底から嬉しそうにガッツポーズをしていた。



さすが、斗樹だな。
口には出さずに心の中で感心する。



まあ、このままいけばこの試合は余裕で勝てるだろうな。



そう思い、横でバスケコートを見て興奮気味の來未を放って私はせまい人混みを抜け、もうすぐ始まる女子バレーの準備をせっせと始めた。