そして、ミナは俺の隣を歩く。
それだけで頬が緩みそうだから必死に抑える。


「カバン」


「いいよ。俺が持ってやる」


「重いでしょ?」


「いいから、甘えろよ。
お前はちっとも俺に甘えてくれねぇんだから」


もっと甘えてくれたっていいのに全く甘えようとしないミナ。
俺はミナがもっともっと可愛くなる瞬間を見たいのに。


「…ありがと」


俯きながらぽつりと照れくさそうなミナは言うと、自分の手をジッと見つめ始めた。


なんだ…?
手を繋ぎたいのか?


だったら、素直に言えよな。
まあ、そんなとこも可愛くて好きなんだけど。


ギュッとミナの小さな手と俺の手を黙って繋ぐとミナはパッと弾けたように視線を上げて俺を見つめた。


「たまにはこういうことすんのもアリなんじゃね?」


お前もしたかったんだろ?
つーか、俺もしたかったし。

ちょうどいい。
それにミナが俺と手を繋ぎたいと思ってくれていることが素直に嬉しかった。