「それは言えてる」
「そこは『いや、違うだろ。お前は優しい』とかお世辞でもいいから言え。バカ」
何普通に納得しちゃってんのよ。
地味に傷つくんですけど。
これでも私も人間だからショックを受けることだってある。
顔にはあんまり出ないけどね。
それはいいのか悪いのか…。
「あ、俺にそう言ってほしかったのかぁ〜…!
お前もたまには可愛いとこもあんじゃん」
朝からは眩しいぐらいのキラキラした笑顔を私に向ける。
他の女の子はここで“ドクンッ!”とかトキメキが来るんだろうな〜…
なんて、思いながら一歩一歩足を進める。
「可愛いとか言っても何も出てこないよ」
そういえば、いつも斗樹って私の歩幅に合わせて歩いてくれているような気がする。
しかも、さりげなく歩道まで歩いてるし…。
こういう優しいところは本当に昔と変わってないんだね。
「別にお前になんか何も求めてねぇし」
「あっそ」
そりゃあ、私なんかに興味が“もし”あるんだったら、今頃彼女をホイホイと作ってプレイボーイにはなってないでしょうね!



