《南帆side》
炭谷くんと付き合い始めて一ヶ月ほどが経った。
付き合いは順調で優しい炭谷くんは私をとても大切にしてくれていた。
だけど、そんな幸せは長くは続かないみたいで……
「ねぇ、炭谷くん。
彼女いるんでしょう?いいの?」
「いいんだよ。俺はきみが好きなんだから」
今日は一緒に帰れないって言っていたのはこういうことだったんだ…。
私の視界にいる炭谷くんはとても綺麗な女の子の腰に手を当てて歩いている。
彼はとても満足そうに微笑んでいて、いつもの爽やかさなんて全く感じなかった。
たまに一緒に帰れないことがあって、その日はずっとこういうことを繰り返していたんだ。
別に私は彼をつけてきた訳じゃなくて來未に頼まれて委員会の代理で会議にでて、
それが終わったから廊下に出たら偶然炭谷くんが女の子と一緒にいたというだけ。
これって……浮気っていうのかな?
放課後の学校はあんまり人がいないから油断していたんだろうな…私も帰っていると思っているだろうし。