物心つく頃からお前のことが好きで好きで仕方なくて、だから、一度も“ただの幼なじみ”だなんて思ったことはない。



「そうだね。私は炭谷くんの彼女で……幸せだよ。
斗樹も彼女とお幸せに。今度はちゃんとしなさいよ」



ミナは俺の顔も見ずに早い口調で言うと、荒々しくドアを開けて中に入っていった。


それとは反対に俺は静かにドアを開けて中に入るとそのまま自分の部屋に行ってベッドにダイブした。


俺は一生幼なじみのポジションか……。
お前は何も知らないだろうな、俺がこんなにもお前のことが好きだってことを。


彼女を作っても、いつも“俺が彼女にしたいのはミナなのになぁ…”って惨めな思いをするだけで結局好きになることなんて出来ずに別れてしまう。



「なぁ……俺に好きって言ってくれよ」



届かない想いをぽつりと呟くけどそれは部屋の中で静かに消えていった。


でも、その言葉が頭の中でこだまする。
そんな日はもう来ないのに…ミナが俺に「好き」と言ってくれる日なんて。


ちゃんと、諦めねぇといけねぇのに…情ねぇな俺。
ミナが幸せならそれでいい、そう自分に言い聞かせるようにしてベッドの上で目を閉じた。