ミナが自分の彼女になったからって俺はもう用無しなのかよ。
片想いのときはあんなに対抗心燃やしてたくせに。
本当にうっぜぇやつだな。
「……もう新しい彼女作ったの?」
家についてドアを開けようとした瞬間、まだ家の中に入っていなかったミナが突然話しかけてきた。
久しぶりに会話をしただけなのに俺の心は素直に喜んでいるらしく、もう平常心なんて保てない。
「作ったと思う?」
「斗樹だったら……ありえそうだね」
名前を呼ばれただけなのにそれだけでまた嬉しくなって舞い上がっている自分に呆れてしまう。
いいことなんて何一つ言われていないのに。
「どっちにしろ、もうミナには関係ねぇよ。
お前は炭谷と上手くいってんだから。
それに、俺らはもうただの幼なじみだろ」
“ただの幼なじみ”
自分で言っておきながら心がズキズキと痛む。
お前は俺のことをいつからかただの幼なじみって思ってたかもしれないけど俺は違ったんだよ。