もう止められねぇくらい好きなんだよ。
いきなり、“好きな人ができて彼氏が出来ました”なんて言われても簡単に諦めきれるわけねぇだろ。
「……私だったら斗樹くんに好きになってもらえると思うからデートの日、絶対来てよね」
それだけいうと、カバンを胸の前で抱えながら走って家まで帰ってしまった。
「なんなんだよ……どいつもこいつも」
結局、俺は一人で帰らなきゃなんねぇのかよ。
登校するのも一人で下校も一人ですっげぇ寂しい。
空いている隣を見るたびにミナのことを思い出してしまうのもそろそろやめたい。
と、思っていると炭谷がミナの頭を優しく撫でながら何言っている様子が視界に入った。
少し前までは俺だってそうやって頭を撫でてやることくらいできたのに。
家の近くまできて、ミナを家まで送り届けた炭谷とすれ違った。
炭谷は俺の存在に気づいているはずなのに珍しく声もかけてこなかった。