「なら、言わないでくれるかな」



その手を払いのけて、学校まであと少しの道のりを歩く。



「んー、なんかお前の反応がいちいち面白くてからかいたくなるんだよな」



ハハッ、と短く笑いながら言う斗樹。


こっちは全然笑えないし。
そんな面白い反応してるつもりもないし。



「あんたって他の女の子には
ニコニコしてて優しいくせに私には意地悪だよね。

その差はなんなの?私にだってちょっとぐらい優しくしてくれてもいんじゃない?」



私以外の女の子にはニコニコとキラキラスマイルを振りまいているのに


私の前になるとスイッチが切れるのか一気に意地悪になって最低なヤツになる。


まあ、ごくたまに優しいけどね。



「なぁ、それヤキモチ?」



「は?」



嬉しそうに頬を緩めながら今にもスキップをしだしそうなぐらいの斗樹とは反対に


真顔で…怖いくらい冷静にその様子を見つめている私。



なんで、私が斗樹になんかヤキモチ妬かなきゃなんないわけ?



「やべぇ……お前が俺にヤキモチ妬いてくれるとか俺今日まで生きててよかった〜〜」



なんてポジティブな頭なんだろう。
私は一言も“ヤキモチを妬いてる”なんて言ってないのに。



しかも、全部が大袈裟なんだってば。