「ちょっと…斗樹。降ろしてよ」
「無理」
「いや、無理って……」
「ケガ人を放っておいていいことなんて無い。
とくにお前はすぐに無理するんだから」
そういって私の抵抗なんて無視して歩いていく。
なんでこんなことになってるのよ…
周りの生徒たちの視線はほとんど私たちに向いていてヒソヒソと内緒話をしている。
保健の先生のところまで着くと斗樹はそっと私を椅子に座らせた。
「先生、コイツの足大丈夫だよな?」
「よく、完走できたわね。
大丈夫かどうかは病院に行って
治療してもらわないと分からないわ」
それを聞いて急に不安になってきて、“治らなかったらどうしよう…”という気持ちが心を支配し始めた。
でも、それに斗樹は気づいたのか私の頭にポンッと手を置いたから
視線を上にあげればそこには優しく微笑む斗樹がいて、不思議なくらいその笑顔に私の心は安心できた。



