どうして…そこまで私のためにしてくれるのかわからない。
私は斗樹にイヤなことしか言えないし、大切にもできないのに。
「お前見捨ててなんか手に入れたくない。
だって、俺の中では何よりミナが大事なんだから」
「っ…!」
斗樹の優しい言葉に涙がこみ上げてくるけどそれをグッと唇を噛み締めて堪える。
「それにこのままだとお前が負けちまうぞ。
炭谷と付き合いたいんだろ?それを俺が叶えてやるから」
「意味わかんない…!
そこまでしてなんで私を助けるかが…!」
全然、分かんないよ。
ついこの間まではこの勝負について私に『負けろ』なんて言ってたくせに。
どうして…こんなに優しくしてくれるの?
自分の勝負だってあるのに……
「俺は……ミナが幸せになってくれるならそれでいい」
静かに吐き出された斗樹の切ない本音が私の耳にも届き、心にまで浸透していく。
「だから…さっさと乗れよ。
俺がお前らの恋のキューピットになってやるから」
「……ありがとう」
少し震えた声で言った。
斗樹の優しさがいまさら身に染みて切なくて嬉しくて…本当に涙が出てしまいそうだった。
私は斗樹の言葉に甘えて背中に乗せてもらった。
いつから…こんなにおっきい背中になったんだろう…
立派な背中になって…すごくたくましくカッコよくなったんだね。
斗樹は息を荒くしながらも私を背負ってゴールまで懸命に走ってくれた。



