もっと、笑ってくれよ。俺の前だけで。
そんな顔はもう見飽きたんだ。
「それさっきも言ってもらったよ。もう忘れたの?」
「あれ?そうだったっけ?」
ウソ。ちゃんと覚えてる。
だって、ミナからプレゼントをもらったのに礼を言わないなんてありえないし。
自分でも飽きれるくらい、虚しくなるくらい。
この二人は両想いで応援してやるべきなのにどうしてもできない。
「南帆ちゃん」
「ん?どうしたの?」
ずっと黙っていた炭谷が口を開いたから
今度は俺が黙って炭谷の言葉に耳を傾けた。
「もし、俺が持久走大会で
一位になったら付き合ってくれない?」
「えっ?」
「は?」
衝撃すぎてつい驚きの声が漏れた。
持久走大会で一位になったら付き合うだと?



