「あ、炭谷くんだ」
「は?」
俺との会話中にニコニコしながら
ドアの方へと駆け出して行ったミナ。
その先にはミナの好きな人、炭谷が立っていた。
こんなタイミングで来んなよ。
今は俺がミナと話していたのに。
アイツがこの教室にくるたびに現実に引き戻される。
俺の恋が叶わないことを知らされているような気がするから。
あんなに嬉しそうにミナが笑うのも炭谷の前だけ。
俺の前では怒るか無愛想な顔をしているだけ…
でも…本当にたまに優しい顔して俺に微笑むから…それに毎回ありえないくらいドキドキさせられてる。
あの二人の恋を応援してやらなきゃいけないのに
邪魔をしたい、と心の奥底では思っている。
最低だ、俺は。
人の幸せも願えないなんて。
体が勝手に二人の方へと向かって歩き出していて
気づけば、二人の間に入るように立っていた。



