「と、斗樹」


「ぶっぶー、それじゃ丸はあげられないな」


「はぁ?ふざけてる?」


「とっくん、って呼べたら丸あげる」



一瞬、自分の耳を疑った。
私が昔その名前で斗樹のことを呼んでいたことを斗樹は覚えていたんだ…。


でも、私は首を横に振った。
いまさら、そんな恥ずかしい呼び方ができるわけない。



「呼べなかったら、キスしちゃおっかなー」


「い、意味不明な事言わないでよ…!」


「分かってるくせに…」



そういうと斗樹は容赦なく私の顔に自分の綺麗な顔を近づけてきて、私の心臓はうるさいくらいに騒ぎ出す。


や、やばい…このままだと本当にキスされちゃう。
危機を感じるのに体は動かなくてギュッと目を閉じた。