「はいはい、そうですよ。
気に入ってますよーだ」
ここはもう開き直るしかない。
しっかり、聞かれてしまった以上はぐらかすことは難しい。
「なぁ、俺の名前も呼んで」
「は?無理」
「いいじゃん、名前呼ぶくらいさ」
クマ子を私には渡しながら斗樹は呑気に言う。
「なんで私が用もないのに
あんたの名前を呼ばなきゃいけないのよ」
「だって、クマ子だけズルいし」
「…何いってんの?」
真顔の私とは真逆で唇をピュッと尖らせて
拗ねた口調で言う斗樹はまるでオモチャを買ってもらえない子供のようだ。
「クマ子の名前は呼ぶくせに俺は呼べないの?」
「もう気持ち悪いこと言わないでよ」
「一回でいいから…ほら呼べよ」
そういった斗樹はもうさっきまでの子供の斗樹じゃなくて男子高校生の顔をした斗樹だった。



