「あっそ。だからなんなの?」



「だから、もう話してくれてもいいだろ?」



そういった彼はいつの間にか私の隣を歩いていて、でもその額にはまだ五月だというのにしわりと汗が滲んでいた。



「どうせ、またすぐに彼女作るんだから一緒でしょ」



私は別に話したいなんてこれっぽっちも思ってないし。


あんたはプレイボーイなんだから私じゃなくても女の子は他にもたくさんいるでしょ?



「じゃあ……」



急に声のトーンが低くなって
いつになく真剣な表情を浮かべている。


そんな彼に心臓がゾワゾワと変な音を立てる。



「女遊びやめるから俺の彼女になって」



……はぁ?


今のは聞き流していいの?


何かの間違いだよね?
私、夢でも見てるのかな?



「……」



色々と頭の中で彼の言葉の意味を考えていると斗樹が痺れを切らしたようにムスッとした表情をして



「…なんか言えよ、バカ」



そういった彼の頬は心なしかほんのりと赤いような…そんな気もする。