わけの分からない感情が心の中に湧いてきてスクールバッグの持ち手をぎゅうっと握って肩をすくめて歩いていると
後ろから肩にぽん、と手を置かれて
ぱっ、と振り向くとそこには少し息の荒い斗樹がいた。
「待てよ…っ」
「待たない」
私は待つこともせずにスタスタと歩き出す。
斗樹も息を荒くしながらも私のあとをついてくる。
「俺、彼女と別れたから」
後ろからそんな声が聞こえてきて、思わず進めていた足を止めそうになった。
別れたって……まだ付き合って一週間ぐらいしか経ってないじゃん。
斗樹って正真正銘のプレイボーイだ。
それも筋金入りのね。
もしも幼なじみなんかじゃなかったら、絶対関わってなかったようなやつだ。