「俺はいつもチーズケーキとブラックコーヒーだよ」
「そっか」
やっぱり炭谷くんはブラックか。
何となくそんな気はしてた。
だって、炭谷くんって爽やかそうに見えて意外と大人っぽい感じがするんだもん。
でも、チーズケーキは意外だったな…なんて頭の隅で考える。
「それがどうかした?」
「ううん。私も炭谷くんと同じのにするね」
「え?南帆ちゃんの好きなの頼んでいいんだよ?」
「いいの。炭谷くんの好きな食べ物を私も食べてみたいから」
少しでも炭谷くんに近づきたくて。
炭谷くんを少しずつ知っていきたいの。
「嬉しいこと言ってくれるね〜。じゃあ、頼もっか」
炭谷くんは一瞬驚いたような表情を見せたけどすぐに笑顔に変わり、店員さんを呼んだ。
「チーズケーキとブラックコーヒーを二つずつ」
「はい。かしこまりました」
炭谷くんが慣れたように注文してくれて助かった。
人と接するのとかはあまり得意な方ではないから。



